ロナルド・A・ノックス著。
推理小説ファンにとって、最初に読むべきはアクロイド殺人事件、最後に読むべきは陸橋殺人事件という言われ方もするらしいが、正直何が特筆点なのか不明だった。
話としては面白くないわけではないが、目立ったトリックも、意外な犯人も、どんでん返しも特になく、至って普通な作品という印象。どんでん返しという意味では、被害者の妻の女性が犯人ぽいなと途中で思った。実際最後にカーマイクルの手紙でそういうにおわせもあったが、どうなのだろう。
敢えて特徴を探せば、素人探偵が幾度も間違った結論に勇み足するとか、4人のキャラクターが非常に立っていて、会話内容が面白いとか、そういった点だと思う。ホームズっぽいアプローチをするリーヴス、ポアロ的な心理を見るゴードン、理屈的なカーマイクル、探偵趣味はなく、迷信深い牧師のマリアットなど、程度は低いがいろいろなテイストでのアプローチが楽しめる。また背表紙を見て思ったが、登場人物が極端に絞られているので、より個々のキャラクターに焦点が当たっているようにも思える。
謎事態についても、その解決部分に多分に偶然やいきあたりばったりな点が多く、きちんと捜査すればすぐに露見する内容にも思える。実際、警察はきちんと地道に進めていて、真犯人の自白も警察がとっており、素人探偵側はそれこそ蚊帳の外で勇み足を続けているだけ、という話になる。実際、彼らがいなくても何も問題なかったはずだ。
そういう意味では、非常に現実的な話であるようにも思える。実際に素人探偵したい人が、殺人事件に関与したら、こんな感じになりそう。ただカーチェースに参戦していたりするので、そこはちょっと違うかもしれない。
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