島田荘司の、御手洗潔もの。一見ただの空想に思える手記から、実在の犯罪をあぶりだしていく内容。島田荘司はこのパターンが好きなのか、他にもいくつかあった記憶。ねじ式ザゼツギーとか。本作の内容はちょっと盛り込みすぎかなと思うが、まあ面白くは読めた。ただ女の人の発狂具合とかは、さすがにちょっと説明が厳しいかなと。「女の人なんてあんなもの」という説明だけだと、さすがに女の人から反感買ってしまいそうだが、どうなのだろうか。社会派要素というか、環境汚染や薬害、農薬などの問題への説明がちょっとくどいのは気になったが、これは当時のはやりという面もあるのかもしれない。主犯格のメンバーはかなりぽっと出で、かつ後処理だけをやっているのに等しいが、やり方にも首をかしげる点が多く、アイディアやこじつけ先行で、あまり犯罪部分へのやる気は感じないというのが正直な感想。御手洗モノとしては面白く読める。
- ゼロ時間へ
- 眩暈
順位としてはこうなる。これは特に迷う要素なし。ネタとしてはいいと思うが、クリスティみたいにさくっとシンプルにしてほしい。余計な要素が多すぎる。