6月 21, 2023

眩暈

島田荘司の、御手洗潔もの。一見ただの空想に思える手記から、実在の犯罪をあぶりだしていく内容。島田荘司はこのパターンが好きなのか、他にもいくつかあった記憶。ねじ式ザゼツギーとか。本作の内容はちょっと盛り込みすぎかなと思うが、まあ面白くは読めた。ただ女の人の発狂具合とかは、さすがにちょっと説明が厳しいかなと。「女の人なんてあんなもの」という説明だけだと、さすがに女の人から反感買ってしまいそうだが、どうなのだろうか。社会派要素というか、環境汚染や薬害、農薬などの問題への説明がちょっとくどいのは気になったが、これは当時のはやりという面もあるのかもしれない。主犯格のメンバーはかなりぽっと出で、かつ後処理だけをやっているのに等しいが、やり方にも首をかしげる点が多く、アイディアやこじつけ先行で、あまり犯罪部分へのやる気は感じないというのが正直な感想。御手洗モノとしては面白く読める。

  1. ゼロ時間へ
  2. 眩暈

順位としてはこうなる。これは特に迷う要素なし。ネタとしてはいいと思うが、クリスティみたいにさくっとシンプルにしてほしい。余計な要素が多すぎる。

ゼロ時間へ

アガサ・クリスティの推理小説。バトル警視が探偵役。トリックや舞台設定に特殊なことはないが、人物の描写が非常に細やかで、キャラクターが立っている。久しぶりに読んだが、タイトルから内容を思い出せなかったが、読み始めると細かいところまでよく覚えていた。特にキャラクターの造形はよく思い出せるところが、この小説の良さを物語っていると思う。個人的には杉の棺と似たところがあると思っていて、どちらも大好きな作品。

以下暫定順位。これから読んだ本をどんどん順位付けしていく。

  1. ゼロ時間へ